始動リアクトルの選定方法について
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採用例
2022.6.8:【受配電】高圧用/低圧用 始動リアクトル
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1.容量の選定方法
始動リアクトルの容量の選定方法は全電圧始動電流(ls)によって選定する方法と電動機の容量によって選定する方法があります。 後者の方法は電動機の全電圧始動電流がわからない場合にのみ用います。
全電圧始動電流(ls)による選定方法
| リアクトルのls≧電動機のls | 
となるよう選定します。
電動機容量による選定方法
| リアクトルの容量(kW)≧電動機容量(kW) | 
となるよう選定します。
注)電動機容量による選定方法の場合、電動機メーカーによって全電圧始動電流が異なりますのでご注意ください。
2.定格時間の選定方法
時間定格は1分、3分を標準としています。 時間定格は、JEM1388に基づき電動機を連続2回始動しても異常のないことを原則として設定されていますので、電動機の始動時間に応じて表1より時間定格を選定してください。
表1
電動機始動時間(秒) | 
時間定格(分) | 
~15 | 
※ 0.5 | 
16~30 | 
1 | 
31~60 | 
※ 2 | 
61~90 | 
3 | 
※0.5分、2分は非標準です。
連続して3回以上始動する場合は、
| 始動回数×始動時間≦リアクトルの時間定格 | 
となるように時間定格を選定します。
[例]
連続5回始動で始動時間が20秒の場合
5(回)×20(秒)=100秒(1.7分)≦3分 となるよう選定します。
電動機の始動時間が明確でない場合、始動時間の設定方式として下記参考式があります。(JEM1041による)
| 始動時間(秒)=4+2√P (P:電動機出力kW) | 
注)始動時間は電動機の負荷状況によって変化しますので、上記の参考式は目安と考えてください。
3.各タップの使用時間
リアクトルは50%、65%、80%のタップが付いてます。
時間定格は65%タップが基準となっていますので80%、50%タップの使用時間は次のようになります。
〔80%タップでは時間定格の0.7倍〕
〔50%タップでは時間定格の1.7倍〕
[例]
1分定格の場合
80%タップでは、1(分)×0.7=約40(秒)
50%タップでは、1(分)×1.7=約100(秒)となります。
4.連続始動回数
時間定格の選定方法により算出した時間定格に対し、電動機の始動時間に応じて下記計算式により連続始動回数が求められます。
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5.再始動のための休止時間
始動リアクトルは電動機の始動時のみに使用され、短時間定格となっています。
よって使用法を誤ると過熱し焼損しますので、次の点を厳守してください。
定格の始動電流を超えて使用しないこと。
時間定格を超えて使用しないこと。
電流を時間定格フルに流した後、再始動する場合は表2の休止時間をおいて再始動してください。
表2
回路電圧(V) | 
電動機容量(kW)※ | 
休止時間 | 
200/220 400/440 | 
45~90 | 
1時間30分 | 
110~350 | 
2時間 | 
|
400~500 | 
2時間30分 | 
|
3000/3300 6000/6600 | 
45~90 | 
2時間30分 | 
110~750 | 
3時間 | 
|
1000~1900 | 
4時間 | 
但し、再始動時の始動時間が時間定格の1/2以下の場合は表2に示す休止時間の1/4時間以上の休止で再始動できます。
再始動時の始動時間が時間定格の1/3以下の場合は表2に示す休止時間の1/6時間以上の休止で再始動できます。
[例]
回路電圧3000V、容量150kW、時間定格1分のリアクトルで再始動時の始動時間が30秒の場合、再始動するのに必要な休止時間は、表2より 3(時間)/4=45(分)以上となります。

